上橋菜穂子著 「炎路を行く者」

「・・・十五の我には 見えざりし、弓のゆがみと 矢のゆがみ、 二十の我の この目には、なんなく見える ふしぎさよ・・・」
「歯噛みし、迷い、うちふるえ、暗い夜道を歩きおる、あの日の我に会えるなら、五年の月日のふしぎさを、十五の我に 語りたや・・・」
(上橋菜穂子著「炎路を行く者」、277ページより引用)

 “精霊の守り人シリーズ”の短編集「炎路を行く者」を読みました。精霊の守り人シリーズは「サグ」と「ナユグ」という二つの時空が重なる世界で、短槍使いの女用心棒バルサと新ヨゴ皇国の皇太子チャグムを中心に物語が進んで行きます(私は見てないですが、今年の3月からNHKでドラマ化されています)。「炎路を行く者」はシリーズ12冊目で、本編の登場人物であるバルサとヒュウゴの少年少女時代のエピソードが書かれています。

 養い親ジグロの負担になっていることに引け目を感じていた十五の少女バルサは、自分一人で仕事をやってみます。が、トラブルに巻き込まれて自分ではどうにもならない状況に追い込まれます。「それでも一人でやる」と言ったバルサに対して、ジグロは頭をなでながら冒頭の詩を伝えます。時が流れ三十過ぎになったバルサは少年チャグムの手助けをする立場になり、自分がジグロから受けた恩をチャグムに伝えようとします。

5年後から見たら・・・

 今、先が全く見えずどう頑張っても抜け出せないように感じている状況も、5年後の自分から見たらすごく簡単に見える。この詩を読んで少し気分が軽くなりました。私は十五を遥かに超えて三十五になってますが、まだまだ先が見えず迷いながら進んでいます。でも5年前に出口が見えず迷ってたことは今思い返すと何てことなかったなと思えますし、気づかない間に出口に辿り着いて先に進んでました。

十五の時悩んでたこと。高校受験。バスケ部、全然上手くならず。人間関係。親子関係。
二十の時悩んでたこと。空手道部の理不尽さ、辞めたい。単位取れない。バイトで自信喪失。
二十五の時悩んでたこと。仕事に対する苛立ち。
三十の時悩んでたこと。ボクシングでの挫折。会社での人間関係。

 5年以上かかったモノもありますが、ほとんどの悩みは今の自分にとっては取るに足らないことになってます。空手道部の理不尽さとかは、逆に後輩に与えてしまってるかもしれません(笑) 今私が迷ってることも、四十になった自分から見たらきっと取るに足らないことなんだろうなと感じます。また、幸運なことに五年先、十年先を進む方々からの助言もいただけています。

そして五年・十年若い方には、自分が手を差し伸べてもらえたのと同じように、伝えられることがあれば伝えたいとも思いました。一日一日で見ると何も変わっていないように見えますが、少しずつでも進んでいれば、いつかは出口に到着します。「出口が見えない」そう感じている方は“5年前に何に悩んでいたか?”を思い出してみてください。

お時間とご興味があれば、是非「精霊の守り人シリーズ」読んでみてください。

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